シリーズ企画

トリガイ

2007.7更新
穏やかな丹後の湾で 大きく育つトリガイ
京都のええもん

 京都府内でとれるおいしいものを再発見してもらう「京都のええもん」シリーズ第二回目は「トリガイ」です。

1. あなたは知っていますかとり貝を
 トリガイは本州(最北は陸奥湾)から九州、朝鮮半島、中国沿岸の、内湾の泥質の海底に生息する二枚貝で、京都府では舞鶴湾、栗田湾及び宮津湾の海底に生息しています。

 学名・分類名は『二枚貝綱マルスダレガイ目ザルガイ科トリガイ』といいます。

 「鳥貝」というのは貝殻から出ている足の形が、鳥のくちばしに似ているからという説と、身質が鶏肉に似ているからだという説の二つがあります。

 市場で普段目にするトリガイは二等辺三角形を少し細長くしたような形をしていますが、これは貝殻の中におさまっている足の部分を取り出して開き、十数秒程度熱湯に湯通し加工したものです。

2. 日本一です!丹後のトリガイ
 一般に流通しているトリガイは三河湾産や外国産が多くて殻の大きさは六cm前後のものです。それに対して京都府産のものは一〇cm前後と大型でそのほとんどが大都市圏に出荷されており「大きさ」「肉厚」「味覚」どれをとっても日本一として、大変人気のある高級食材となっています。

 京都府産が大きく育つわけは、小型トリガイが大量に漁獲される海では夏場のきびしい環境等により越夏することが困難であるのに対して、丹後の海は、一年中トリガイにとって住みよい穏やかな環境であり、プランクトンも豊富なため、トリガイの寿命は二~三年となり、大きく育つのだとのことです。

3. 「天然トリガイ」と「育成トリガイ」
七月、八月に宮津湾、栗田湾で獲れる「天然トリガイ」は、日本一として大変人気のある高級食材ですが、年により漁獲量の変動が大きいため、京都府立海洋センターでは大型のトリガイを安定して市場に提供できるよう、トリガイを卵から成貝まで育てる養殖技術の研究・開発が進められました。
 
それにより確立された「種苗生産」技術によりセンターが一_程度に育てた稚貝を、センターから養殖技術を学んだ地元漁業者が海面の筏で約一年間育成するという手法が成果を上げています。

  この手法で育てられるものを「育成トリガイ」といい「丹後とり貝」のブランド名で宮津市や、舞鶴市の漁業者のもとで育成・生産拡大に取り組まれています。

  丹後とり貝は、育成トリガイのうちで殻付重量100g以上のものを言い、規格等は次のとおりです。

●規格

大:殻長85mm以上かつ殻付重量150g以上
中:殻付重量130g以上
小:殻付重量100~129g



 一般的には「育成」という言葉は魚類養殖のイメージが強く、育成物の品質は、天然物よりも劣るというイメージがありますが、この育成トリガイは、海水中の天然植物プランクトンを食べて育つので、天然のトリガイと基本的には同じ品質といえます。

「丹後とり貝」のブランド化

 丹後とり貝をブランドとして定着させるために、品質面・供給面の安定に向けた取り組みがすすめられています。

 ただ、一消費者としては、ブランド化と合わせて価格面でも努力され、「高級料理店・寿司店」だけでなく、いつかは家庭でも気軽に味わえるものになってほしいと思います。

 トリガイのシーズンは六月頃からですが、地元の宮津市では『宮津天橋立とり貝昼処』として六月から七月の間、手軽にトリガイ料理が味わえます。今なら間に合うかも...

  詳しくはインターネットで「とり貝 昼処マップ」を検索してください。

【お問い合わせ】舞鶴観光協会(0773-66-1024)
【ホームページ】http://www.maizuru-kanko.net/